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SDSにおけるSSDの使いどころ – Part 2
前回に記事の内容を踏まえ、今回はファイルシステムのクラスタについてご紹介します。
パート1の記事の最後にも述べた通り、既存のエンタープライズNASではファイルシステムのクラスタサイズ*1があらかじめ決まっていますが、IzumoFSはファイルシステムのフォーマット形式やクラスタサイズを選択することが可能です。たとえばCentOS7でデフォルトとなったxfsでは、クラスタサイズを512b~64kbまで設定することが可能です。
クラスタサイズの特徴
クラスタサイズには下記の特徴があります
- クラスタサイズ小
- 1ファイルに対する読み書きの回数が増えるため、性能オーバーヘッドが大きくなる。
- クラスタサイズ大
- 小さなファイルでも既定のクラスタサイズとして処理されるため、容量オーバーヘッドが大きくなる
ファイルシステムに保存するファイル類のサイズによってクラスタサイズを調整することで、ストレージ使用効率の向上が見込めます。たとえば、動画のような大きなファイルばかりを格納する場合には大きなクラスタサイズ、システム関連ファイルのような小さなファイルを扱うことが多い場合には小さなクラスタサイズを選択するとストレージの効率が上がる可能性があります。
ここで、クラスタサイズと前述のSSDのページサイズをあわせて考えると、以下のような関係となります。
- クラスタサイズ > ページサイズ
- 最小のIOでも必ず分割して複数ページの書き込みとなる。スレッド数が少ない場合は性能を十分に引き出せない
- クラスタサイズ < ページサイズ
- SSDは上書き不可なので、ページ間の不要なデータ転送が増える
クラスタサイズとページサイズを合致させることで、SSDの性能を引き出すことが期待できます。
IzumoFSでのSSDの使いどころ
IzumoFS上でSSDのメリットを最大限享受できる箇所がメタデータ領域です。IzumoFSではファイルを保存する際にデータとメタデータに分割します。特殊なメタデータサーバ等は必要とせず、ノード追加で性能がリニアにスケールします。
このメタデータには頻繁なランダムアクセスが期待されます。さらに前述のとおりIzumoFSではファイルシステムのクラスタサイズも選択可能なので、SSDに各種パラメータを最適化することができます。そのため、メタデータ領域をSSD化することで高い費用対効果が実現できます。
このようにSSDとIzumoFSを含むSDS双方の特徴を合わせて考えることで、ただ単純にどんなハードウェアでも使用できるだけでなく、多くのハードウェアを「適切に」使用することができます。
さいごに
最近になってますますニーズの高まるSSDですが、使いようによっては性能をきちんと引き出せていない可能性があります。今ご利用になっているSSDも、もしかしたらまだ隠れた潜在能力を持っているかもしれません。ぜひ一度ページサイズやクラスタサイズを調べてみてはいかがでしょうか。
- IzumoFSのような分散ストレージのノードを束ねたものをクラスタと呼びますが、ここでのクラスタサイズとはファイルシステムがデータを格納する最小単位を指します。
シリーズ
- SDSにおけるSSDの使いどころ – Part 1
- SDSにおけるSSDの使いどころ – Part 2
- SDSにおけるSSDの使いどころ – Part 3